雑誌 「美容文化」 2009年3月号 雑誌掲載記事 −後編−

 美容文化者様発行の雑誌「美容文化」2009年3月号にロングインタービューを掲載して頂きました。その時の記事をご紹介させて頂きます。

ライバル店とどう戦うか?

男性客が寛げる空間を意識している。 サロンの周辺は交通アクセスが良好な立地条件に恵まれた地区であり、ある程度の人の流れが期待できるため、某有名美容チェーンや低料金サロンも進出し、昔ながらの理容店は大きな影響を受けている。
 また、消費者のヘアサロンに対する価値観が変化したのに加え、不況の影響もあり、客足が遠のくことが予想される中、どんなアプローチをすることが最善策なのかを試行錯誤した結果、椋木オーナーが導き出した答えは「総合調髪」をより充実させ、理容店の魅力を再生することだった。
 そして、「集客性だけを重視し、価格にフォーカスした取り組みでは消耗戦を強いられることになり、小規模サロンには分が悪い」と考えた末の決断が男性客を強く意識し、ディスカウントではなく、バリューを前面に打ち出した「総合調髪」をサロンの主軸メニューに据えることだったのだ。
 物余りの現代だが、手仕事が再評価される風潮もあり、理容師にしかできない技術である“刈る・剃る・洗う”はまだまだ翁可能性を秘めている。
シンプルな料金表。オプションメニューも充実 サロンにはむろん、オプションメニューも用意されているが、目先の収益性だけを重視せず「総合調髪」を軸にじっくりと腰を据えた経営を続けた結果が来客周期の短縮に繋がり、口コミによる新規客も順調に増加し始めている。

サロンの存在を消費者に知らせる。

 但し、いかに魅力的なサロンに生まれ変わろうとも消費者に存在を認知されなければ、全く意味がない。
付加価値の高い総合調髪が看板メニューとなっている。 サロンが路面店でないこともあり、椋木オーナーはPOP作りにも力を入れている。実際にサロンを訪れるとまず大通り沿いに設置された看板を皮切りに店先にたどり着くまでに幾つものPOPを目にする。
しかも、POPにはサロンがお客様にどんなメニューやサービスが提案できるかが一目でわかるように内容と価格が記載されており、初めて来店するお客様でも安心して訪れることができる。
ちなみに現在は内容を書き換えてしまったが、サロンのコンセプトである「男だったら床屋だろ!」を記載した看板を大通り沿いに設置していた頃はそのフレーズのインパクトもあり、店先を行き交う人の目を引き付け、新規客が大幅に増加した。

ポスティングで駄目押し

 近年は都市部では再開発などが頻繁に行われているが、サロンの周辺も例外ではなく、徒歩もしくは電車で数分の商圏内に幾つもの大規模な新築マンションが誕生した。
椋木オーナーはサロンを改革する第一段階として前述のように自信を持って提供できるメニューを開発(「総合調髪」の見直し)し、次の手としてPOPにより認知度の向上を図り、最後の駄目押しとしてポスティングによる広告戦略を展開した。
ポスティングにはある程度のコストも必要となるためサロンの戦略としては賛否両論かもしれないが、何を前面に打ち出した内容にするかによって反響は大きく異なる。
椋木オーナーはポスティングを実施する際も「男だったら床屋だろ!」のコンセプトにこだわり、サロンのメニューと短い紹介文だけを記載した。

サロンを探していた新規客

椋木オーナーとスタッフの小宮さん。アジアンテイストの店内 「ポスティングは新規客の獲得に貢献するとともに思わぬデータを採取することに繋がった」と話す椋木オーナーだが、新規客にはある共通の特徴があることがわかった。
新築マンションの増加し始める以前から住民の入れ替わりが激しかったサロンの周辺地域だが、実は多くの男性が新しい土地で通い始める理容店を探してることがわかったのだ。新しい土地に引っ越してきたものの、数ある理美容室の中から自分に合ったサロンを見つけることができず、仕方なく利便性だけでお店を利用している人も実は多いのだ。
また、サロンを探す人程、来店時に期待する要素も多く、価格だけではなく、上質な空間やメニューの質が選択の決め手になるが、椋木オーナーの「男だったら床屋だろ!」戦略はそんな潜在客の心を刺激した。一般的なポスティングの効果を遙かに上回る成果を上げられたことがサロンの戦略の有効性を証明している。

土曜日のみ予約制を導入

特に忙しい週末のみ予約制を採用している。 平日でもコンスタントにお客様が来店するが、週末になるとさらに混雑するため、サロンでは土曜日のみ予約制を導入した。
一定の集客が確保できたからこそ、ゆったりとした時間を過ごして頂くコンセプトを曲げない次の手を打つのが肝要だが、早速それを実践できる椋木オーナーは常に消費者の目線を忘れない。

以上、ロングインタビューを「理容文化」2009年3月号に掲載して頂きました。理容文化様に改めて厚く御礼申し上げます。